グランドスラム×音楽

今日は、グランドスラムに関連する音楽についてです。

去年のローランギャロスでは好きなバンドであるFoals のThe French Open という曲を自分的テーマソングにしていた(詳しくは以前書いていた旧ブログをご覧ください 〔その1〕 〔その2〕 )があったのですが、なんとなくそういう時期にテニスに関する音楽とかCM動画を探したりするのが習慣になっています。

とはいえ、なかなか都合よく見つかるものでもなく、今回のウィンブルドンでは特にピンと来るものがなかったのだけど、観戦仲間の人に「ウィンブルドンに関する曲」があると教えてもらいました。

ウィンブルドンへ連れて行って

えーっと、とても甘酸っぱい曲ですね・・・( ̄▽ ̄;)

ちなみに歌っているのはSKE48(AKB48の名古屋版)ですが、本家AKB48版もあるらしく、それぞれ違った魅力があるのだそうで。。興味のある方は調べてみてください。
なんというか、本人たちの雰囲気と観客の熱狂ぶりといい、ふた昔ぐらいの歌番組でも見てるような気分ですが、秋元康はあえてそういうのを狙っているのでしょうか?

・・・・・はい、この動画をアップしたのは完全に出来心です(笑)


というのともうひとつ理由があって、ここからが本題。
ローランギャロス開催時の恒例となっている地元TV局による選手のカラオケ企画。
今年はジョコビッチのほか、マレーソダーリングツォンガ錦織くんが参加したのですが、大会当時この動画を見ていて、ひとつちょっと毛色の違うものを見つけました。

こちらです。

Mc enroe’s poetry

全員がテニスウェアを着ているので、てっきりヴォーカルをテニス選手だと勘違いし、DIONYSOS という選手をATPのサイトで調べたりしたのだけど、どうも名前が出てこない。というか、この人マッケンローの歌うたってるけど一体どういうこと!?

・・・ということで、検索してみたら彼らがDionysosというフランスのバンドであることが分かりました。

いい意味でインパクトが強かったので少し突っ込んで調べてみたところ、Dionysos という神々しい名前は、案の定、ギリシャ神話に出てくるオリンポス12神のひとり(トラキアやマケドニアの集団的狂乱と陶酔を伴う秘儀における神様だそう)の名前だそう。英語とフランス語を交えてこんなコミックソングのような歌も歌いつつ、ストレートなロックやアコースティック、ゴスペルのような曲もあったり。その音楽性は多様でジャンルでひとくくりにできないというか、PVも凝ってるものが多いし、音楽をひとつの“表現”と捉え、様々なことに取り組んでいるとでもいいましょうか。フランスではそこそこ知られているんだそうです。
でも、日本における“洋楽”って基本的に英語圏の音楽を指すので、なかなか日本語で情報が見つけられず・・・。

ちなみに話は飛躍しますが、先日フランスで行われたアヌシー国際アニメーション映画祭で映像が初公開されたというリュック・ベッソンの新プロジェクト”La Mecanique du coeur”(The Mechanics of the Heart)は、このDionysosのヴォーカルが著した小説をアニメ化したもので、彼も共同監督・脚本などで制作に加わっている・・・という、なんだか摩訶不思議なグループですねぇ。

話をカラオケ企画に戻します。
フランス語はとんと分からないのでどうにも調べようもないのだけど、Dionysosもテニス選手と同様に番組の企画内で同じカラオケボックス(という設定のもと)で、マッケンローの曲を披露したということなんでしょう。


Mc enroe’s poetry, Dionysos

I feel like John Mc Enroe
When he put the strings in glow.
John Mc Enroe!

My name is John Mc Enroe, do you know my poetry?
It will be written with blood
with the blood of the bad referees.
My tennis bag smells like gun smoke
and there’s no tennis stuff anymore,
there’s only strange books big maps
and a pictures of a girl with a strawberry face.

John Mc Enroe!

I feel like John Mc Enroe
When he put the strings in glow.
John Mc Enroe!


真っ赤な顔をしてストリングを入れると
まるでジョン・マッケンローのようだ
ジョン・マッケンロー!

僕の名前はジョン・マッケンローだ
君には僕の詩が分かるかい?
それは僕の血と無能な審判の血で描かれるんだ
僕のテニスバッグは拳銃の煙のような香りがして
もうテニスの道具は入っていない
不思議な本と大きな地図とストロベリーフェイスをした
女の子の写真が入っているだけだ

ジョン・マッケンロー!

真っ赤な顔をしてストリングを入れると
まるでジョン・マッケンローのようだ
ジョン・マッケンロー!


(うーん・・・「When he put the strings in glow」のニュアンスがうまく表現できない・・・。)

詞の世界観が独特なのが特徴でもあるようで、いまいち理解できないところがあるのだけど、マッケンローをよく知ってる人なら思い当たる部分とかあったりするのだろうか?
なんでこの曲のことを今更というのもあるのですが、ローランギャロスの時にアップしようと思っていたのだけど、タイミングを逃してしまい、ちょうどウィンブルドンの曲(と言えるのか分かりませんが)と巡り合ったということで、それに便乗することにしたのです。

ほとんどテニスとは関係のない内容になってしまいましたが、基本的に映画や音楽を好む人間につき、思いついた時にこういう記事も上げていきます。

>>Dionysos My Space

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参考サイト
sun is blue like Dionysos   ほか


映画『イカとクジラ』(’05)

自分の旧ブログで、テニスにまつわる映画や本を紹介する企画〔tennis×culture〕というものをやっておりました。この記事は時事性のないものなので、このブログにもアップしておきたいと思います。

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全く書いておりませんでしたが、このブログではテニスが登場する映画を紹介していく〔tennis×culture〕企画というものをやっております。随分久しぶりだよな~と思って、振り返ってみたら、なんと1年以上振り・・・(^^; ということで、第3弾は、『イカとクジラ』(’05)です。

本編 81分
監督 ノア・バームバック
製作国 アメリカ
原題 THE SQUID AND THE WHALE
*2005年アカデミー賞脚本賞ノミネート作品

〔ストーリー〕昔は人気作家だったが今は大学講師の父・バーナード(ジェフ・ダニエルズ)と、新人作家として華々しくデビューすることになった母・ジョーン(ローラ・リニー)が離婚をすることに。父は新しく家を借り、ふたりの息子は両親の家を週の半分ずつ行き来することになる。高校生の兄・ウォルト(ジェシー・アイゼンバーグ)は博識だが強権的な父に傾倒し、小学生の弟・フランク(オーウェン・クライン)は感受性豊かだが俗物的な母の方を好み、そんな生活が上手くいくはずがない。親の勝手に振り回されるふたりは、やがて学校で問題行動を起こしてしまう・・・。

父と母が離婚をきっかけに相手への嫌悪を露にするようになり、子どもに自分の都合ばかり押し付ける。それに振り回される息子ふたりの心の痛みが思わぬ形で現れ・・・という決して器用ではない家族4人を通じて、親といっても所詮は人間なんだ、ということを子どもたちが身を持って学び、本当の自分を見つけていく姿を痛みと温かさを持って描いています。

で、ここでようやくテニスが登場。
「父・兄組」vs「母・弟組」によるダブルスのゲームから映画は始まります。ライン際の際どいボールをめぐってチーム同士で意見が割れ、父は「ママの苦手なバックを狙え」と兄に指示し、ボールを真正面に打ち込まれたジョーンは夫を睨み付け・・・としょっぱなからゲームを通じてこの家族のキャラクターや構図を提示してきます。
プロテニス選手を夢見ているフランクは、プロであるアイヴァンのコーチを受けているのだけど、彼はヒザを痛めたせいで現在世界ランク402位。父・バーナードはアイヴァンのことを二流で知性のかけらもない俗物だとバカにしているが、フランクが憧れるのはまさに彼のようなテニス選手なのです。

ところで物語の舞台は1986年ニューヨーク、ブルックリン。当時の黄金期を支えた名選手の名前が続々と登場してきます。父はジョン・マッケンローやビヨン・ボルグを「芸術的」、ジミー・コナーズを「野性的天才」と評し、息子に彼らのプレイスタイルを教え込むが、コーチの方針とは全く相容れない・・・。

フランクが使っているのはドネー(DONNAY)のウッドラケットです。ボルグが全盛期の1980年頃に使っていたメーカーで、ドネーのウッドラケットといえば彼の代名詞でもあったみたいですね。

これがボルグモデルである「ボルグプロ」。
画面を止めて確認してみたのだけど、まさにそんな感じ。

ちなみにこのDONNAYというメーカー、初めて聞いたので、ちょっと調べてみたらベルギーのスポーツメーカーで、現在ラケットはバドミントン用しか作っておらず、ウェアやラケットバッグ、そしてなぜか硬式テニスのボールは作っている模様。
http://www.donnay.nl/index.html

フランクがテニスをやっていることもあり、劇中度々テニスのシーンが出てきます。まぁアイヴァンも含めてあんまり上手いようには見えないけど(まぁもしかしたらこの時代のフォームがこういうものだったのかもしれないけど・・・)

という訳で、テニスはあくまでも小道具のひとつではあるのだけど、誰もが欠点を持った人間であるということをきちんと捉えた普遍的な家族の物語で、映画として単純にオススメです。
監督は『ライフ・アクアティック』でウェス・アンダーソンと共同脚本を務めたノア・バームバックで、この作品にもウェス色とも言うべき「小ネタ」の数々(小説や雑誌、街や音楽など)もいちいち散りばめられています。ウェス好きで未見の方はぜひ。
(キテレツ度が低い分私はウェス作品よりもこっちの方が好きかなー)

【予告編】


エッセイ「テニスボーイ・アラウンド・ザ・ワールド」

自分の旧ブログで、テニスにまつわる映画や本を紹介する企画〔tennis×culture〕というものをやっておりました。この記事は時事性のないものなので、このブログにもアップしておきたいと思います。

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今回は、村上龍著「テニスボーイ・アラウンド・ザ・ワールド」を紹介したいと思います。

これは、村上龍によるホット・ドッグ・プレスの’86年4月10日号~’87年5月10号の連載記事を中心に書籍としてまとめたもので、この間のグランドスラムやマスターズなどを観戦しまくっていた彼の観戦記。写真も全て彼撮影によるもの。

当時活躍していたイワン・レンドル、アンリ・ルコント、ボリス・ベッカー、クリス・エバート、シュテフィ・グラフ・・・といった名選手が続々登場し、試合をテクニカルな感じで紹介したりもしているのだが、この本の魅力は何といっても筆者が作家・村上龍ということである。

一時期の彼が相当テニスに入れ込んでいたことは、この本以外にも「テニスボーイの憂鬱」「快楽のテニス講座」といった本を出していたことは明らかなんだけど、その理由は、

百二十八選手がトーナメントで戦う個人競技は恐らくテニスだけだろう。  (途中略)
そこには開会式も閉会式もないが、勝者と敗者はドライにまたシリアスに選り分けられながら、決勝というフィナーレを迎える。当然数々のドラマが生まれるが、それは情緒的なものでは決してなく、質の高い祝祭となっていくわけだ。
私が、テニスそのものに魅かれたのはジョン・マッケンローという個性によってである。
そして、海外のトーナメントを回る直接のきっかけとなったのは、フランスのアンリ・ルコントという美しい天才プレイヤーに魅せられたからだ。マッケンローの幻影と、ルコントの超攻撃的型テニスを追って、私の旅は始まったのである。  (以上、序・メルボルン より引用)

という一節に手がかりがあるような気がする。

「個人競技」ゆえに、競技にプレイヤーごとの個性が色濃く反映され、それが彼を魅きつけたのだろう。

・・・というような「村上龍テニス論」はまぁいいとして、彼が書く観戦記は本当に面白い。

彼は“テニス記者”ではないので、例えばテニス雑誌の記事に求められるようなナンバーワン選手ありきで試合を見たりしない。
あくまでも彼のお気に入り(ルコント)を観戦し、プレス席から平気で野次も飛ばす。ニューヨークで知り合ったチャイナ・ガールに入れ込み、余ったチケットをスッチーに定価で売りつけ、ベイクドポテトとビール片手に観戦し、その帰りにはダンスホールに寄る・・・。

とまぁこれはほんの一例なのだが、やんちゃ(といっても当時で30過ぎだが)なテニスファンの視点で、率直に選手やテニス界のことを語り、賞賛し、こき下ろす。

もちろん開催地に関する旅行記としても楽しめるし、プレイや街に関する表現なんかもいちいち詩的で、1冊で本当にいくつもの味わいがある。

テニスの書籍を多く読んでいる訳ではないので、知らないだけかもしれないが、この本は相当異色なテニス本であると思うし、結論としては、村上龍が好きなテニス好きの人は絶対に読んでおくべき。
(まぁそういう人はもう読んでるでしょうが・・・)

私が古い選手のことをほとんど知らないので、ピンとこないところもあったのだけど、そういうことも知識として分かるようになってきたら、もう1度読み直すつもりです。

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ところで、今も彼がテニスのファンなのかどうかは分からないけど、もしそうだとしたら、どの選手が好きなんだろうか?
プレイスタイルで、というのはいまいち思い浮かばないのだけど、なんとなく思うのは、ナダルのことは好きじゃないだろうなということ(笑)


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