映画『イカとクジラ』(’05)




自分の旧ブログで、テニスにまつわる映画や本を紹介する企画〔tennis×culture〕というものをやっておりました。この記事は時事性のないものなので、このブログにもアップしておきたいと思います。

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全く書いておりませんでしたが、このブログではテニスが登場する映画を紹介していく〔tennis×culture〕企画というものをやっております。随分久しぶりだよな~と思って、振り返ってみたら、なんと1年以上振り・・・(^^; ということで、第3弾は、『イカとクジラ』(’05)です。

本編 81分
監督 ノア・バームバック
製作国 アメリカ
原題 THE SQUID AND THE WHALE
*2005年アカデミー賞脚本賞ノミネート作品

〔ストーリー〕昔は人気作家だったが今は大学講師の父・バーナード(ジェフ・ダニエルズ)と、新人作家として華々しくデビューすることになった母・ジョーン(ローラ・リニー)が離婚をすることに。父は新しく家を借り、ふたりの息子は両親の家を週の半分ずつ行き来することになる。高校生の兄・ウォルト(ジェシー・アイゼンバーグ)は博識だが強権的な父に傾倒し、小学生の弟・フランク(オーウェン・クライン)は感受性豊かだが俗物的な母の方を好み、そんな生活が上手くいくはずがない。親の勝手に振り回されるふたりは、やがて学校で問題行動を起こしてしまう・・・。

父と母が離婚をきっかけに相手への嫌悪を露にするようになり、子どもに自分の都合ばかり押し付ける。それに振り回される息子ふたりの心の痛みが思わぬ形で現れ・・・という決して器用ではない家族4人を通じて、親といっても所詮は人間なんだ、ということを子どもたちが身を持って学び、本当の自分を見つけていく姿を痛みと温かさを持って描いています。

で、ここでようやくテニスが登場。
「父・兄組」vs「母・弟組」によるダブルスのゲームから映画は始まります。ライン際の際どいボールをめぐってチーム同士で意見が割れ、父は「ママの苦手なバックを狙え」と兄に指示し、ボールを真正面に打ち込まれたジョーンは夫を睨み付け・・・としょっぱなからゲームを通じてこの家族のキャラクターや構図を提示してきます。
プロテニス選手を夢見ているフランクは、プロであるアイヴァンのコーチを受けているのだけど、彼はヒザを痛めたせいで現在世界ランク402位。父・バーナードはアイヴァンのことを二流で知性のかけらもない俗物だとバカにしているが、フランクが憧れるのはまさに彼のようなテニス選手なのです。

ところで物語の舞台は1986年ニューヨーク、ブルックリン。当時の黄金期を支えた名選手の名前が続々と登場してきます。父はジョン・マッケンローやビヨン・ボルグを「芸術的」、ジミー・コナーズを「野性的天才」と評し、息子に彼らのプレイスタイルを教え込むが、コーチの方針とは全く相容れない・・・。

フランクが使っているのはドネー(DONNAY)のウッドラケットです。ボルグが全盛期の1980年頃に使っていたメーカーで、ドネーのウッドラケットといえば彼の代名詞でもあったみたいですね。

これがボルグモデルである「ボルグプロ」。
画面を止めて確認してみたのだけど、まさにそんな感じ。

ちなみにこのDONNAYというメーカー、初めて聞いたので、ちょっと調べてみたらベルギーのスポーツメーカーで、現在ラケットはバドミントン用しか作っておらず、ウェアやラケットバッグ、そしてなぜか硬式テニスのボールは作っている模様。
http://www.donnay.nl/index.html

フランクがテニスをやっていることもあり、劇中度々テニスのシーンが出てきます。まぁアイヴァンも含めてあんまり上手いようには見えないけど(まぁもしかしたらこの時代のフォームがこういうものだったのかもしれないけど・・・)

という訳で、テニスはあくまでも小道具のひとつではあるのだけど、誰もが欠点を持った人間であるということをきちんと捉えた普遍的な家族の物語で、映画として単純にオススメです。
監督は『ライフ・アクアティック』でウェス・アンダーソンと共同脚本を務めたノア・バームバックで、この作品にもウェス色とも言うべき「小ネタ」の数々(小説や雑誌、街や音楽など)もいちいち散りばめられています。ウェス好きで未見の方はぜひ。
(キテレツ度が低い分私はウェス作品よりもこっちの方が好きかなー)

【予告編】




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