映画『ウィンブルドン』(’04)




自分の旧ブログで、テニスにまつわる映画や本を紹介する企画〔tennis×culture〕というものをやっておりました。この記事は時事性のないものなので、このブログにもアップしておきたいと思います。

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という訳で、ついに始まりました〔tennis×culture〕企画。
第1回目は、テニス映画ということで真っ先に思いついた『ウィンブルドン』(2004)です。

本編 99分
監督 リチャード・ロンクレイン
製作国 イギリス/フランス

〔ストーリー〕かつて世界ランク11位にまで上り詰めたイギリス人プレイヤー、ピーター・コルト(ポール・ベタニー)も31歳となり、ランキングは119位。ワイルドカードをもらって出場する今回のウィンブルドンを最後に引退する決意を固めていたが、優勝候補のアメリカ人新進プレイヤーのリジー・ブラッドベリー(キルスティン・ダンスト)と出会い、たちまち恋に落ちる。勝利の女神を得たピーターは、予想外の快進撃を見せるが、ある日、ふたりの思い違いから「何より勝利が好き」という彼女と決定的な仲違いをしてしまう。そんな中、彼はついに決勝にまで駒を進める・・・。
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この映画は、劇場公開の時に映画館で観ていて、「ポール・ベタニーかっこえー」とか「キルスティン・ダンストかわいー」とかまぁそんな感じで爽やかなラブストーリーとして楽しんだのですが、今回はテニス映画として観るということで、DVDを幾度となく一時停止させながら、じっくり鑑賞しました。

以前の日記で私なりのテニス映画の定義について書いたのですが、

①テニスが主人公のキャラクターや物語のモチーフと分かちがたく結びついている。
②競技としてのテニスやプレーヤーの心技体が、それなりの紙幅を割いて描写されている。
③作品に出てくるテニスを他の何かに置き替えることができない。
④テニスについての描写が、実際の競技者をある程度満足させることができる。
⑤プレイシーンの一部は役者本人ではない/ボールの一部はCGであることを容認する。

これについてさっそく検証していきます。

物語のメインは男女のラブストーリーですが、史上初めてウィンブルドンの全面的な協力を得て作られた映画で、クレジットにも

THIS FILM WAS MADE WITH THE HELP AND CO-OPERATION OF THE MEMBERS AND STAFF OF THE ALL ENGLAND LAWN TENNIS & CROQUET CLUB, WIMBLEDON

という文字がしっかり入っています。
THE ALL ENGLAND LAWN TENNIS & CROQUET CLUBとは、ウィンブルドンの会場の正式名称で、ウィンブルドンの芝コートはもちろんのこと、コート裏のラウンジやロッカールーム、夜のパーティー、記者会見の様子など、「実際の大会の雰囲気ってこんな感じなのかしら」と想像させてくれるようなシーンがふんだんに登場。
マッケンローとクリス・エバートが本人役で解説者として登場するほか、メアリー・カリロなど往年の選手が出演。他にも、ヒューイット、フェデラー、ロディック、ウィリアムズといった名前がセリフの中で出てきます。
クレジットの一番最初には、“マーク・マコーマック
に捧げる”という言葉も出てきます。マーク・マコーマックとは、2003年に亡くなったIMGの創設者。

オフコートのことだけでなく、相当の時間を試合の場面に割いています。また、ピーターの試合中、心の声としてナレーションが度々入ります。これにより彼が自分への鼓舞や色んな葛藤、気の散る様などが分かりやすく伝わってきます。
また、自国プレイヤーのウィンブルドンでの活躍を期待するイギリス国民の姿も、過熱気味のメディア報道、賭けに興じる弟、ボールボーイやホテルマンとの交流といった描写からも伺えます。

こういったことから、①~③と、④の半分の要素(作品世界のディティール)については全く問題ありません。 それどころか、近年の映画でこれほどテニス全般についてしっかり描かれているものはないでしょう。

残るは、④の残り半分(演技者によるプレイ部分)と、⑤ということになります。⑤で私の言わんとすることは、④を満たすために、スタントや合成などをきちんと使ってテニスシーンをきちんと鑑賞に堪えうる、リアリティあるものにすべきという意味です。

俳優にはもちろんテニスコーチが付いたようです。俳優自らやっていることが最も分かるシーンとして、サービスの場面がありましたが、ポール・ベタニーは、一般プレイヤーレベルでは、それなりに見られるフォームになっていました(キルスティン・ダンストはあんまりスタイリッシュとは言えず・・・)。ラリーのシーンも多く出てきますが、どこまでが本人で、どこまでがスタントなのかはよく分かりませんでした(クレジットによるとスタントも数名いたようです)。

テニス初心者につき技術的なことはこれ以上書けないので、今回は、劇中のそれぞれの役者がどんなメーカーのものを使っているのかをチェックしてみました。

■ピーター
使用ラケット:HEAD 着用ウェア:FRED PERRY

■リジー
使用ラケット:、Prince、Willson  ←ヲイヲイ
着用ウェア:PUMA

■ピーターの恋のライバル?にして決勝の相手
使用ラケット:Willson 着用ウェア:NIKE

■ピーターの親友のドイツ人プレイヤー
使用ラケット:DUNLOP 着用ウェア:adidas

プレイヤーごとにバラエティに富んでいて、見た目にも楽しむことができます。
ピーターはイギリス人なので、ちゃんとフレッドペリーを着用しています。フレッドペリーで思い浮かぶにはアンディ・マレーですが、ベタニーはマレーよりもイケメンだし(俳優だし当然だが)、スラリとした着こなしが素敵です^^
リジーは、ピーターとサービスをボール缶に当てる賭けをする時と、試合中とでラケットが違っているのですが、これは明らかにスクリプター(映画撮影においてシーンの様子や内容を記録・管理するパート)のミスでしょう。

ウィンブルドンに出場する選手は、規定により、試合の時だけでなく練習ウェアも白を着用することになっていますが、この映画では、登場人物は練習の場面で思い思いの色のウェアを着ていました。それぞれのキャラクターを生かす為にもこの程度の演出は許容範囲なのかな~。

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・・・とまぁ、長々と書いてしまいましたが、この映画はテニスを扱った娯楽映画としては、相当水準の高いものだと思います。
雨でテニスが中止になったとかいう鬱憤を晴らすには、見た目も楽しめてストーリーもハラハラできるこの作品はうってつけです。

ちなみに、今回、私はDVDをレンタルして観たのですが、セル版の方には、

■クラブへようこそ(約3分)
“テニスの聖地”ウィンブルドンのセンターコートで行われた史上初の撮影の時の様子などを、主演の2人や監督などが語る。

■ボール・コントロール(約5分)
テニスのシーンをより本物らしく、試合を白熱したシーンに撮るための技術的方法、テニスの経験がほとんどない俳優たちをプロらしく見せるための撮影技術の裏話。

■新星を育てる(約3分)
テニス経験のほとんどない俳優たちをいかにプロらしくみせるか?撮影のトリック、俳優たちの取り組みなど、テニス・コンサルタントとして協力したパット・キャッシュ(元プロテニスプレーヤー)の証言や、解説者として映画にも出演しているジョン・マッケンローとクリス・エバートのコメントも。

■ウィンブルドン:舞台裏(約10分)
映画で使われたプロテニスプレーヤーたちのジンクスやエピソードなど、”ウィンブルドン”をより、”本物”に近づけた映画に仕上げたディティールにまつわる話や、主演者ら自身によるコメントをインタビュー形式で紹介。  

■音声解説 
リチャード・ロンクレイン監督とポール・ベタニー2人の軽妙な音声解説!

■予告編集

・・・という超豪華な特典映像が付いているようです。
これを観れば、ますますテニス映画としての面白さが味わえそうです。同僚がセル版を持っているらしいので、今度借りてみようと思います。




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