ローランギャロス2011 観戦記(1) 1回戦 vs ミハイル・ユーズニー ~新たなるステージへ




22日から25日までたっぷり観戦を満喫し、土曜日にパリから帰国しました。

試合を振り返る今回の記事と、「写真編」「会場編」「チケット編」の4回予定で観戦レポートをお届けします。


・・・と言いつつ、試合を直接見ると、どうも目の前のポイントポイントに集中してしまい、大きな意味で試合を冷静に見ることが難しいタチにつき(笑)、試合を実際に見て感じたことをいくつか書いてみたいと思います。


1回戦 vs ミハイル・ユーズニー 5-7 2-6 4-6


イベントを除く試合を生で見たのは去年のジャパンオープン以来です。技術面ですが、去年のジャパンオープンでは、当時15位のモンフィス相手に素晴らしい試合をしましたが、アクセル全開で飛ばした結果、最後までスタミナが持たなかった。
でも、今回はそれ以上の3セットの試合をしながらもそれが最後まで持続していました。
これは大きな進歩です。

そして、このところの試合で、バックサイドに振られた時に体勢を崩してしまい、次のショットへの切り替えしが悪いなと感じることがあったのですが、今回はそれが見られず、戻りがすごく早くなっていると感じました。
これは浜浦トレーナーによるトレーニングの賜物だと思います(^^

あと、クレーコートには苦手意識を持っているようですが(WOWOWの中継実況より)、この大会はクレーにしては球足が早く、今年から公式球に採用されたBabolatのボールも飛びがいいらしいということもあるかもしれないものの、添田くん自身ストローク主体の選手だし、スライディングに改善の余地はあると感じつつ、クレーの適性は意外と悪くないのではないかという気がしました。

今週からもう芝シーズンが始まってしまいますが、来季はクレーにもっと積極的にチャレンジしてもいいんじゃないかな、と感じました。

 

対戦相手のユーズニーはプロフィールにも書いてありますが、大好きな選手のひとりです。

このところ調子を落としていて、試合中にもそれを思わせる場面があったり、添田くんの粘っこいプレーに苛立ちをあらわにしたり(まさかのラケットで頭をたたきつけを披露! 幸いというか流血事件の再来にはなりませんでしたが。。)と隙も見せました。
でも、例えば、第1セット添田くんがブレイクバックをして5-5となった後、ユーズニーのリターンゲームは、ユーズニーがストレートで再度ブレイクをしました。添田くんもこの点を記者会見で反省点に上げていますが、ブレイクを許した後のリターンゲームという重要な局面で相手の隙を見逃さずにギアを上げてブレイクができる。そして、ちょっとでも甘いボールが来たら一瞬にして攻撃に転じてポイントを取ることができる。

そういう集中力、ショットの精度の高さはさすがの一言です。

相手が添田くんでなければ「すごいぞーーー >▽<」と大喜びするところですが、今回ばかりは倒したい敵なので「何なんだこの鬼軍曹は ><」という心境でした。。
本当に強かった。


でも、個人的には、相手がトップ選手であってよかったと思っています。

ラッキールーザー(予選決勝敗退選手の復活枠)で本戦入りを果たした去年のウィンブルドンでは、対戦相手が予選勝者というチャンスドローであったにも関わらず、緊張から自分らしいテニスができなかったとインタビューで語っていました。

ところが、今回はトップ選手相手に本気で勝つ気で挑み、最後までその姿勢を貫きました
ラリーは充分に渡り合えていました。でも、それだけではもちろん勝つことはできません。
そこから先、「勝つために必要なもの」を肌で感じ取ったのではないかと思います。


これから目指すのはツアーで勝てる選手になること、そのために必要な力を付けることです。そのためには何が必要で、自分の目指すものの姿を明確に見られた方がいい。

今は再び100位を割ってしまいましたが、今大会は自分の実力でつかんだ初めてのグランドスラム本戦。100位突破後はエントリー締切の都合でチャレンジャーへの出場が続いていたので、対戦相手のレベルの意味でも、大会のグレードの意味でも、この大会は添田くんが文字通り「新たなステージ」に立った第一歩の大会だったのではないかと思います。

試合前のブログで、その時の心境を「今回でグランスラム本戦は3回目。1、2回目よりは気持ちは冷静にそして燃えています。」と書いていました。
気持ちの上で、上のステージに上がる準備は整いました。結果を出すための準備という意味で、これが一番大切なことではないかと思うのです。

今年で27歳。歩みは遅いかもしれませんが、着実に一歩一歩進んでいます。

その新たなステージに立った瞬間をこの目で見ることができたことは、ファンとしても本当に嬉しかったし、「これを見るためにパリに来たんだ」と、と本当に感慨深いものがありました。


今週出場するノッティンガムチャレンジャーの後は、ロンドン(ツアー大会)本戦、ウィンブルドン(予選から)、そしてニューポート(ツアー大会)本戦・・・と、これだけハイレベルでの試合が続くのはおそらく初めてではないかという連戦が待っています。

努力がすぐ実を結ぶほど簡単な世界ではありませんが、今大会で感じたことをしっかり胸に刻んで、諦めずに挑戦を続けて欲しいと思います!

この写真は、一番最後のポイント、ユーズニーのサービスエースに対する抗議の瞬間です。
ショットとしてはもっといいものもあるのですが、最後の最後まで諦めなかったこの試合を象徴する姿であると同時に、未来につながるすごくいい場面だなと思い、勝手にsabumasaのベストショットに認定することにしました(^^

その他の写真は次の記事でアップしたいと思います!

------------------------------

最後に、試合について詳しくかかれていたサイトを紹介します。


5/23 2日目 添田、波形、クルム伊達 -SMASH BLOG
http://www.nsks.com/blog_smash/2011/05/24/1087/

添田 1回戦後会見「途中からディフェンシブになってしまった」 -SMASH BLOG
http://www.nsks.com/blog_smash/2011/05/24/1101/

添田豪は初戦で敗退も、初のダイレクトイン出場でシード選手相手に健闘/全仏オープン男子 -テニスナビ
http://www.tennis-navi.jp/news/world_tour/rolandgarros/026238.php

添田豪 世界13位ユーズニーと戦う!  -テニスジャパン
http://tennisjp.cocolog-nifty.com/tennis/2011/05/post-ad0c-7.html




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コメント(4)

  1. sabumasaさん観戦おつかれさまでした。

    今回の記事、清々しい〜☆(普段がネチネチしていると言っているわけではありませんw)添田くんも今年前半を振り返ってすっきりと気持ちが整理されたブログを書いてますね、目指すべきものが見えている者の強さでしょうか。彼自信が節目とする試合を見られて、節目を感じ取ることもできて、本当によかったですね。自分のことのように嬉しいです。

    ところでsabumasaのベストショットに最初首をかしげていたのですが、、よく見るとたしかに重要な瞬間です。待ち構えていて撮れる瞬間ではないし、最後に見せた執念は「これでは終わらないぜ」という自分への挑戦状のようにも見えます。しかも、クレー以外のツアー大会ではホークアイがある場合が多いから、ミスジャッジを見過ごすわけにはいかないし!
    ウィンブルドンに確実につながるなー( ̄ー ̄)

    白ごはん

  2. 期待していた以上のものを見られた満足というか、私自身のとても晴れ渡った気分が文面にも反映されているのかも。

    添田くんの言う通り、次は結果が欲しい!

    sabumasa

  3. サブタイトル「新たなるステージへ」がまず素敵。サブマサさんの応援も新たなるステージ GS へと踏み出したのよねぇ。お疲れ様でした。

    強敵相手に最後までしっかり戦った豪クンが思い起こされました。豪クンの前向きな姿勢ならきっと結果が出て来ると信じています。
    次々と若い選手が登場するプロテニス界、
    豪クン頑張って!!
    サブマサさんも応援頑張って!!

    mihokok

  4. >mihokokさん

    コメントありがとうございます!
    応援のステージがGSへ、というよりはクレーに対する関心が芽生えたと思います。
    添田くん自身クレーが苦手であることを公言してて、3年以上大会に出てなかったので、私もこのサーフェイス自体に余り関心を持ってなかったんですが、実際目にしてみて、慣れ親しんだハードとは全く違う戦いで、それがものすごく新鮮でした!
    添田くんは今後クレーにも出る気になってるようだし、私もしっかり見ますよ(笑)

    時は刻一刻と移り、前向きな気持ちばかりでもいられないものですが、応援頑張ります(^^

    sabumasa

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